三十路過ぎてから旅に出ようと思ったきっかけ

ウユニ塩湖の水鏡に映る美しい朝焼け。2013年3月撮影

旅行好きだった少年時代

僕は子供の頃から旅行が大好きでした。どこに行くにしても「旅行にいくよ」と言われるだけでワクワクしました。

ごく普通の家庭に育ったので、旅行もそんな頻繁に行っていたわけではありません。夏休みと冬休みに年1〜2回程度でしたが、毎年国内の色々な場所へ連れて行ってくれました。

高校生の時にたまたまTVでやっていた「深夜特急」を見ました。大沢たかおが主演をしていたやつです。それが当時の自分にとってはものすごく衝撃的でした。香港の怪しげな宿、インドの混沌とした情景、トルコの西洋と東洋のが混じり合う街…。そのどれもが魅力的で面白くて、食い入るようにテレビを見ました。TV放映の後も深夜特急を書店で全巻買い、何度も何度も読み返しました。高校生の多感な時期でしたから、単純に影響を受けやすかったのかなとも思います。そのドラマと本をきっかけに「深夜特急のようにいつか海外を旅してみたい」という想いが芽生えました。

バックパッカーで世界をまわる

そして、その想いを実現する時がついにやってきます。

大学生の時に産まれて初めて海外旅行に行く事を計画しました。しかもいきなりバックパッカースタイルで、インド45日間一人旅!今思えば最初は海外ツアーにしておくべきでした、ホント自分はアホというか、無鉄砲だと思います。

初めての海外、インドで僕は色々な意味で手荒い歓迎をうけました。酷い下痢に3度もなりました。深夜のニューデーリーでリクシャーに騙されボッタクリ旅行会社に連れて行かれた事もありました、酷く汚い宿にとまったり、物乞いにとりかこまれたりもしました。旅している時に誰かに聞いたのですが、インドを旅すると「もう二度と来たくない」と思う人と「また絶対来たい」と思う二者に分かれるのだとか…。そして僕は後者でした。嫌な事も沢山ありましたが、それ以上にインドの旅はめちゃめちゃ面白かった。インドという国の光と影、見た事の無い景色、異国の文化、そしてなにより様々な人との出会いが刺激的で旅の魅力にハマってしまいました。

インドから帰国後、旅の魅力に取り憑かれた僕は次の学校の長期休暇に狙いを定めます。そして次の長期休暇中にタイ、カンボジア、ベトナム、台湾をまわりました。さらに翌年にはトルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、クロアチア、スロベニア、オーストリア、チェコを陸路で1ヶ月半かけてまわりました。

理想と現実

時間と金さえあれば「ずっと旅を続けたい」とさえ思っていました。しかし、現実にそんな事は不可能だし旅をずっとつづける訳にはいきません。学校を卒業し、就職をし、家庭を持ってからはそんな思いとは裏腹に「旅」とは遠ざかって行きました。 もちろん家族旅行に行ったりすることはありましたが、それは自分にとって「旅」ではなく「旅行」なのです。 決められた行程、予約をして、全てが便利に快適に過ごせる「旅行」はどこか物足りない部分を感じてしまうのです。

でも、いつしか「旅に行きたい」という思いは心の奥底に押し込め極力考えないようにしました。

…そして数年が経つ事になります。

きっかけ

フリーランスで仕事を始めて5年。おかげさまで、それなりに安定した収入も得られるようになりました。しかし5年という月日が過ぎて、今一度立ち止まって考える必要も感じていました。フリーランスという職業ははっきり言って非常に不安定です。今でこそ安定して収益を上げられるようになりましたが、いつまた仕事を失ってしまうかもわかりません。また会社員と違って病気になってしまった場合の保証もありません。このまま今の仕事を続けるべきなのか、全く新しい分野に踏み出すべきなのか、それとも….。

そんな自分を見て妻は何かを感じていたのかもしれません。

「一人で旅行にでも行ったら?」

妻のこの一言で心の奥底にしまっていた思いがふつふつと蘇ってきました。

「そうだ、旅に出よう」

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